「自社の商品カテゴリをChatGPTに聞いてみたら、競合の商品ばかりが並んだ」という声を、EC・メーカーの担当者からよく聞くようになりました。ChatGPTでの買い物で候補に挙がるかどうかは、広告費ではなく、公開されている商品情報と第三者からの言及で決まります。最初にやることは1つで、自社名を出さない質問をAIに投げ、いまどう答えられているかをチェックすることです。

「チャットGPT 買い物」「ChatGPT ショッピング」「ショッピングリサーチ」など呼び方はいくつもありますが、この記事ではまとめて「ChatGPTでの買い物」と書きます。扱うのは消費者としての使い方ではなく、売り手として自社商品が候補に挙がるかどうかです。SEOは運用しているがAI上の露出は手つかず、という企業担当者の方へ向けて執筆しています。なお、AIの回答に自社や自社商品が正しく出るように整える取り組みは、AIO(AI Optimization)のほか、LLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)、AEO(回答エンジン最適化)とも呼ばれます。本メディアではこれらを総称して「AIO」と表記します。

買い物の相談先がChatGPTに移りはじめたことを日本の調査データで確かめる

買い物の相談先は、すでにAIへ移り始めています。「AIに聞いてから買う」は感度の高い一部の人だけの話ではなくなりました。国内の調査でも、その様子が数字で確認できます。

生成AIを月1回以上使う1,190人に聞いた調査では、買い物で生成AIを使った経験がある人は約7割でした(エクスクリエ「日常生活・買い物における生成AI活用実態調査(2026年)」、2026年5月)。これは「日本人の7割」ではなく、「生成AIを使っている人の中での7割」です。エクスクリエの同じ調査(2026年4月実施)では、AIで調べたりすすめられたりした商品を実際に買った人が、買い物でAIを使った人のうち約6割にのぼりました。同じエクスクリエ調査の全国5,825人への事前調査(2026年4月実施)では、生成AIを月1回以上使う人は40.6%でした。

生成AIの利用者を対象にした別の調査でも、AIをきっかけに商品を購入した経験がある人が半数を超えています(PLAN-B「生成AIとの対話による購買行動調査 2026」、2026年6月)。

弊社AI Hackは、AIの回答に企業や商品がどう出ているかを計測するツールと、その改善を支援するコンサルティングを提供していますが、この数字を見て、私たちは「相談の場に自社の名前が出るかどうか」が新しい勝負どころになったと考えています。

ChatGPTでの買い物は、いまどこまでできるのか

ChatGPTでの買い物は、「相談して候補を絞るところ」までが実用段階にあります。支払いまでチャットで済ませる形は、2026年3月に見直され、決済は販売事業者側に戻りました。ここからは、まず買い手のChatGPTの画面で何が起きているかを確認し、次に何ができなくなったかを一緒に確認していきましょう。

相談から候補提示までの流れ(買い手の画面で起きること)

欲しいものを言葉で説明すると、予算や重視する点を聞き返され、数分後に比較付きの買い物ガイドが返ってきます。この機能はログイン済みであれば無料プランでも使えます(OpenAI「Introducing shopping research in ChatGPT」、2025年11月)。日本語のニュース記事でも、ログイン済みのユーザーなら利用できる機能として紹介されています(Impress Watch「ChatGPT新機能『ショッピングリサーチ』 おすすめ商品ガイドを作成」、2025年11月)。発表に提供地域を限る記載はなく、日本からも使えます。2026年3月の刷新後も、無料・Go・Plus・Proの各プランが対象です(OpenAI「Powering Product Discovery in ChatGPT」、2026年3月)。

この機能が力を発揮するのは、家電、美容、住まいと庭、キッチン家電、スポーツ・アウトドアのように、仕様の細かい分野だと説明されています(OpenAI「Introducing shopping research in ChatGPT」、2025年11月)。価格を1つ確認するような単純な質問では、普通のチャットの回答で十分だからです。

チャット内で買える仕組みが後退した2026年3月の方針転換

チャットの中で支払いまで済ませる仕組み(Instant Checkout)は、2025年9月29日に始まり、2026年3月上旬にストップしたと報じられました(Forbes「Why OpenAI's Checkout Retreat Spells Trouble For Its Commerce Strategy」、2026年3月)。開始時は米国Etsyの出品者からの単品購入だけに限られ、AI経由の販売が実際に動いていたShopifyの加盟店も約12店にとどまったとForbes(2026年3月)は伝えています。

その後OpenAIは2026年3月24日に、商品を見つけて比べる体験のほうを作り直し、支払いは各社のサイトやアプリに任せる形へ切り替えると発表しました(OpenAI「Powering Product Discovery in ChatGPT」、2026年3月)。

私たちは、売り手の論点が「決済をどうつなぐか」から「候補として名前が挙がるか」に移ったと見ています。決済の連携は限られた事業者の話ですが、候補に挙がるかどうかは全ての売り手に関係します。

ChatGPTが商品情報を集める3つの経路と、おすすめが決まるまでの流れ

おすすめの商品は、広告枠ではなく集めてきた情報から組み立てられます。従来のリスティング広告のようにお金を払って枠を買えば上位に入る、という仕組みではありません。情報の集め方は、大きく次の3つに分かれます。

  1. 公開されている自社の商品ページやブランドサイト
  2. 第三者が書いたレビュー記事・比較記事・口コミ
  3. 販売事業者がOpenAIに直接渡した商品データ

(OpenAI Help Center「Using shopping research in ChatGPT」、確認2026年9月)

ここからは、それぞれの経路対策において押さえておくべき点を解説します。

経路1: 自社の商品ページが読み取れる形になっているか

ChatGPTは商品ページを直接サイトに見にいきます。ただし自動的なアクセスを制限しているサイトは飛ばされ、似た商品を扱う別のサイトが代わりに使われます(OpenAI Help Center「Using shopping research in ChatGPT」、確認2026年9月)。価格や仕様が画像の中にしか書かれていない場合も、同じように拾われません。AIがWeb上の情報をどう探して答えに使うかは、ChatGPT searchの特徴と使い方の解説で整理しています。

経路2: レビュー記事や比較記事に商品名が載っているか

2つ目は、売り手が自分では記入できない第三者のサイト上で自社商品・サービス名に言及されているかが重要です。AIは複数の情報源を突き合わせて候補を作るため、比較記事やレビュー記事に商品名が一度も出てこない商品は、そもそも候補に入りません。自社サイトをどれだけ整えても、この経路が空白だと「知られていない商品」として扱われます。

経路3: 販売事業者が商品データを渡す仕組みと、使える事業者の条件が揃っているか

3つ目は、商品名・説明・画像・価格・在庫をまとめてOpenAIに渡す方法です。この仕組みを使えるのは、いまのところ承認された事業者に限られます(OpenAI Developers「Agentic Commerce(Get started)」、確認2026年9月)。渡す項目の定義は仕様書として公開されています(OpenAI Developers「Product Feed Spec」、確認2026年9月)。なお、Shopifyで出店している事業者は、Shopify側の連携(Shopify Catalog)を通じて追加作業なしで対象になると案内されています(OpenAI「Powering Product Discovery in ChatGPT」、2026年3月)。つまり多くの売り手にとって、今すぐ自分で対策ができるのは経路1と経路2です。

「30代の出張用で軽いスーツケース」を例に、条件が分解される様子を追う

AIは「軽いスーツケース」とそのまま調べにいくわけではありません。重量の目安、機内持ち込みのサイズ、1〜3泊に合う容量、価格帯、口コミの評判、というように複数の調べものに分けます。そのうえで、それぞれの条件に答えているページを探しにいきます。

ここで拾われるのは、「2.5kg」「機内持ち込み対応」「1〜3泊向け」といった言葉で説明された商品です。スペック表に数字だけが並んでいて、どんな場面に向く商品かが書かれていないと、条件に合うと判断されずに候補から落ちます。次の図は、相談の一文が条件に割られ、参照先をたどって商品の一覧になるまでの順番をまとめたものです。

ChatGPTで買い物の相談が商品提示にたどり着くまでの流れ

なお、各AIサービスは内部の処理を公開していないため、ここまでの説明は外から観察して分かる範囲です。同じ質問でも回答は毎回揺れるので、単発の結果で結論を出さず、複数回の傾向として見る必要があります。ログアウト状態で測った結果も基準値であって、実際の利用者に見えている回答そのものではありません。

なぜChatGPTのおすすめに自社商品が出てこないのか

出てこない理由は、だいたい次の4つに分かれます。原因ごとに見分け方が違うので、まとめて「AI対策」と考えず、1つずつ切り分けます。

  1. ChatGPTに商品ページを読ませられていない
  2. レビュー記事や比較記事に商品名が載っていない
  3. 買い物客が使う条件の言葉で商品を説明していない
  4. 価格や型番がページごとに食い違っている

ChatGPTに商品ページを読ませられていない

価格や仕様が画像の中だけにある、表示に時間のかかる作りになっている、サーバー側でAIのアクセスを断っている、といったケースです。見分け方は単純で、商品名を指定して聞いたときに価格や仕様を正しく答えられるかを見ます。答えられないなら、まずAIが読める形にするところからです。

レビュー記事や比較記事に商品名が載っていない

第三者が公開する情報内にて自社商品が言及されていない状態です。自社名を出さずに「◯◯のおすすめは」と聞き、挙がった商品がどのサイトを引用元にしているかを見ると分かります。引用元が特定のレビューサイトや比較記事に偏っていれば、そこに載っていないことが不在の理由だと考えられます。

買い物客が使う条件の言葉で商品を説明していない

スペック表は充実しているのに、「軽い」「機内持ち込み」「一人暮らし向け」「贈り物向け」といった言葉が1つもない状態です。商品名を指定すれば正しく答えられるのに、条件を付けた相談では出てこない場合は、この原因を疑います。打ち手は、数値の横に用途の説明を足すことです。

価格や型番がページごとに食い違っている

旧モデルのページが残っている、キャンペーン価格と通常価格が別ページで矛盾している、といったケースです。同じサイトの中で記述がずれていると、AIはどれを正とすべきか判断できず、回答が不安定になります。商品名で聞いたときに古い型番や違う価格が返ってきたら、ここを疑います。

ChatGPTへの3段階の質問で候補から落ちている場所を絞る

順番は決まっています。まず商品名を指定して聞き、次に用途や条件を付けて聞き、最後に自社名を出さずにカテゴリで聞きます。この3段階で、4つの原因のどこで落ちているかがほぼ絞れます。下の図は、その質問の順番と、それぞれの結果に対応する打ち手を並べたものです。

自社商品がChatGPTのおすすめに挙がらないときの原因切り分け

実務において弊社では自社名を出さない質問文を設計し、複数のAIサービスと複数回の反復で、名前が挙がったか・何番目に挙がったか・どのサイトが引用元になったかを分けて記録しています。1回の結果では判断できないため、反復した結果の平均とばらつきで読みます。

商品が探される場所を並べて比べる:Google検索・ECモール・レビューサイト・ChatGPT

ChatGPTだけを特別扱いする必要はありません。買い物の探し方は複数あり、それぞれ参照される情報も打ち手も違います。次の表は、その違いを1枚に並べたものです。

探し方

使われる場面

参照される情報

売り手の打ち手

効果測定

現時点の限界

Google検索(AIによる概要・AIモードを含む)

商品名やカテゴリが決まってから

Web上のページ全般

従来のSEO

Search Consoleで概ね追える

回答内で完結してクリックが減る

Amazon・楽天などモール内検索

買う直前

モール内の商品データとレビュー

商品名・画像・レビューの改善

モールの管理画面で追える

モール外の情報は反映されない

価格比較・レビューサイト

迷っている段階

編集部レビューと利用者の投稿

掲載依頼と実測データの提供

参照元からの流入で追える

掲載するかは先方の判断

ChatGPTでの商品相談

条件が曖昧な段階

公開ページ・第三者の情報・渡された商品データ

条件の言葉での説明、第三者ページへの掲載、商品データの提供

参照元の一部のみ

価格や在庫が実際とずれることがある

Perplexityなど他の対話型AI

出典を並べて確かめたいとき

サービスごとに異なる参照先

基本はChatGPTと同じ

参照元の一部のみ

参照先も表示形式も各社で違う

モール内検索では在庫と価格が正、レビューサイトでは第三者の言葉が正、ChatGPTはその両方を混ぜて要約します。サービスごとに参照先が違うため、現状を測るときは同じ質問をChatGPT以外のAIでも試し、挙がる商品と引用元を見比べます。

1つ注意点があります。大手モールの中には、AI事業者のクローラーを追加で遮断したところがあります。Amazonです(Modern Retail「Amazon quietly blocks more of OpenAI’s ChatGPT web crawlers from accessing its site」、2025年11月)。2026年9月時点で解除を伝える報道は確認していません。参照できない場所にしか情報がない商品は、候補に入りようがありません。Google側でも回答だけで用が済む流れは続いています。

そのため私たちは、どれか1つのチャネルに寄せるより、同じ商品情報がどこでも一致している状態のほうが効くと考えています。

商品ページ・第三者の情報・商品データ、どれから手をつけるべきか

手をつける順番は、自社だけで動かせるものからです。AIの回答に自社が正しく出るように整える取り組みを、本メディアではAIO(AI Optimization)と呼びます。呼び方は業界でまだ揺れているので、定義から確かめたい場合はAIO(AI Optimization)とはを先に読んでください。打ち手は4つに整理できます。

打ち手

何が変わるか

自社だけで着手できるか

効果が見えはじめるまで

前提条件・注意点

①商品ページを条件の言葉で書き直す

条件付きの相談で拾われやすくなる

できる

AI側が読み直すまで待ちが出る

1ページに用途を詰め込みすぎない

②第三者のレビュー・比較記事に載る

候補の集合そのものに入る

相手がいる

掲載が出てから

掲載可否は媒体側の判断

③商品データを渡す

価格や在庫が正しく反映される

条件付き

承認と初回の取り込み後

受け入れは承認された事業者に限られる

④どう挙がっているかを定点観測する

打ち手の前後を比べられる

できる

初回の計測から基準値が取れる

回答が揺れるため複数回で測る

表の4つを、具体的な作業に落とすと次のようになります。

  1. 商品ページの数値の横に、買い手が使う言葉で1〜2文の説明を足します。「重量2.5kg」の隣に「機内持ち込みサイズで、1〜3泊の出張向け」と書くだけでも変わります。1ページを何十通りの相談文に合わせようとすると記述が競合して安定しないため、1ページ1用途に絞ります。
  2. レビュー記事や比較記事への掲載を依頼する前に、先方が必要とする材料をそろえます。実測値、比較しやすい仕様、使える写真の3点を渡せる形にしておくと話が早く進みます。
  3. 商品データを直接渡せるかは、自社が使っているECプラットフォーム側の対応状況を先に確認します。受け入れの条件が限られるため、ここは待ちが発生する前提で並行して進めます。
  4. 数えるものは3つに絞ります。名前が挙がった割合(Mention Rate)、自社サイトが引用元として示された割合(Citation Rate)、挙がったときの並び順(Position)です。

私たちは、①と④を同時に始めるのが現実的だと考えています。目指すのは「順位を上げる」ことではなく、「候補に残る条件を満たす」ことです。

ChatGPTの買い物でよくある3つの誤解

ここで現場でよく出てくる誤解を3つ紹介します。

誤解1「広告を出せばおすすめの上位に入れる」

ChatGPTには広告の枠があり、日本では2026年6月に表示が始まりました。表示対象は無料プランとGoプランにログインしている成人です(Impress Watch「ChatGPT、日本で広告表示開始」、2026年6月)。広告はスポンサーであることが明示され、回答とは区別して表示されます。OpenAIは、この広告が回答の内容に影響することはないと説明しています(OpenAI「Testing ads in ChatGPT」、2026年2月)。そのため広告は枠を買うもので、おすすめの並び順を買うものではありません。

誤解2「表示された価格や在庫はいつでも正しい」

最終的な価格と在庫は販売店のサイトで確認するように、と案内されています(OpenAI Help Center「Using shopping research in ChatGPT」、確認2026年9月)。売り手側の対策は、自社ページと外部の掲載情報の食い違いを減らすことです。事実と違う説明が出続ける場合は、AIが事実でない内容を答える現象(ハルシネーション)として監視の対象にします。原因と対応はAI検索の誤情報(ハルシネーション)の原因と企業の対策で扱っています。

誤解3「ChatGPT経由の流入は全部数えられる」

GA4には2026年5月13日にAIアシスタント向けのチャネルが追加され、ChatGPTなどからの流入を切り出して見られるようになりました。ただし判定は参照元の情報に頼るため、参照元が付かない訪問は直接流入に残ります(Google アナリティクス ヘルプ「Google アナリティクスの新機能」、2026年5月)。私たちはこの数字を下限として扱い、絶対値ではなく前後の変化で判断しています。

まとめ:まず自社が今どう挙がっているかを測るところから

要点は3つです。買い物の相談先はすでにAIへ移行しつつあり、AIのおすすめする候補に入るためには広告ではなく情報から組み立てることが重要で、その打ち手は商品ページ・第三者の情報・商品データ・観測の4つに整理できます。

まずは次に紹介する1つのみで構いませんので行動に移してみましょう。それは、自社名を出さない質問を、汎用のもの1本と用途や価格帯で絞ったもの3本以上(合わせて最低4本)用意し、同じ質問を複数のAIで複数回試して、挙がった商品と引用元を記録することです。記録の形式や道具の選び方は、AIO分析ツールの比較と選び方にまとめています。自社の見え方を一度そろえて確認したい場合は、株式会社AI Hackにご相談ください。