「検索順位は1位のままなのに、記事へのアクセスだけが落ちている」。事業会社のWeb担当者から増えているこの相談の裏には、Google検索のAI Overviewsという機能があります。多くの場合、原因は順位ではなく、検索結果の一番上に出るAIの要約に答えを持っていかれていることです。 AI Overviewsは、日本語の画面では「AI による概要」と表示されます。検索した人は要約を読んだ時点で疑問が解け、下のリンクを開かなくなります。この記事では、AI Overviewsが流入を減らす理由と、サイト側にできること・できないことを、調査データとGoogleの公式情報をもとに整理します。基本の仕組みやSEOへの影響は、AI OverviewsのSEOへの影響と活用法を解説した記事にまとめています。

検索順位は落ちていないのに、なぜ自社サイトへの検索流入は減るのか

いま多くのサイトで起きているのは、順位も表示回数もほぼ同じなのに、訪問だけが減るという現象です。要約だけで用が済んでしまうため、順位という物差しでは変化が見えません。

もう1つのつまずきは、自社の商品名で検索したときに起きます。上に出る要約の中に、自社の名前も自社サイトへのリンクも出てこない、という相談です。

なぜ今この話が増えたかというと、検索の側がこの1年で動きました。1つは、Googleが検索の「AIモード」を日本語で順次提供し始めたことです(Google Japan Blog(AIモードの日本語提供開始の発表)、2025年9月)。AIモードは検索結果ページのタブを切り替えて使う対話型の機能で、AI Overviewsとは別の枠です。

もう1つは、確認できる材料が増えたことです。Search Console(Googleが無料で提供する検索データの確認ツール)の生成AIパフォーマンスレポートが、2026年8月31日付で世界のすべてのサイトに展開されました(Search Console ヘルプ「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」、2026年8月)。これは、AIの機能に自社ページが何回表示されたかを見る画面です。

用語を2つだけ先に決めます。AI検索の中で自社が引用・言及されるようにする取り組みは、AIO(AI最適化)、LLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)、AEO(回答エンジン最適化)など複数の呼び名で語られています。本メディアではこれらを総称して『AIO』と表記します。もう1つ、AIが事実でない内容を出す現象をハルシネーションと呼びます。生成AIの回答を計測するツールとAIOの支援を行う株式会社AI Hackでは、対策の前にまず「自社が要約の中でどう扱われているか」を確かめる順番を取っています。私たちは、この確認を飛ばすと打ち手が当てずっぽうになると考えています。

AI Overviewsの正体:Google検索の最上部にAIが要約と引用リンクを出す機能

AI Overviewsは、Google検索の結果ページの最上部に、質問への答えの要約と、根拠になったページへのリンクを出す機能です。「◯◯とは」と検索したときに、青いリンクの一覧より前に数行の説明文とサイト名が並ぶ枠が、それに当たります。日本では2024年8月から提供が始まりました(Google Japan Blog「AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法」、2024年8月)。

「SGE」はAI Overviewsの前身の呼び名

2023年に試験運用されていた「SGE」の正式版がAI Overviewsで、2024年5月に米国から提供が始まりました(INTERNET Watch「Google、ウェブ検索の「AIによる概要」(AI Overviews)を日本などでも提供」、2024年8月)。社内資料で「SGE対策」と書かれていても、指しているものは同じです。別機能として並べて比べる必要はありません。

「AIモード」はタブを切り替えて使う別枠の機能

AI Overviewsは通常の検索結果に自動で付いてくる要約、AIモードは自分でタブを開いて質問を重ねる対話です。この2つを分けて記録しないと、社内の議論は噛み合いません。対話型の側の仕組みはGoogle検索のAIモードをSEOの視点で解説した記事で扱っています。

AI OverviewsとチャットAI(ChatGPT・Perplexity)の違いは、入口が検索結果の中かどうか

AI Overviewsは検索結果の中に出る要約、ChatGPTやPerplexityは別のアプリやサイトで人が会話しに行くものです。ここでは入口の違いだけ押さえてください。打てる手の違いは、あとの比較表でまとめます。

AI Overviewsはどんな検索でGoogleの結果ページのどこに表示されるのか

AI Overviewsが出る位置は、青いリンクの一覧より上です。要約の枠の中や横に参照元のサイト名が数件並び、通常の検索結果はその下に押し下がります。次の図は、自分の画面のどこを見ればよいかを確かめるためのものです。

AI Overviewsが表示される位置と参照元リンクの並び

AI Overviewsが出やすい検索と出にくい検索

出やすいのは「◯◯とは」「◯◯の方法」のような調べもの型の検索です。社名や商品名をそのまま打ち込む検索や、購入手続きに直結する検索では出にくい傾向があります。同じキーワードでも出る日と出ない日があり、パソコンとスマートフォンで並び方も変わります。まず自社の主要キーワードを調べもの型とそれ以外に仕分けるだけでも、影響の見通しが立ちます。

AI Overviewsが要約と引用リンクを組み立てるまでの流れ

AI Overviewsは、1つの質問をそのまま調べるのではありません。たとえば「AIO 費用」と聞かれたら、相場、内訳、他社との比較といった複数の小さな検索に分けて調べます。Googleの公式ガイドでも、AI Overviewsとモードは関連する複数の小さな検索を実行して回答を組み立てる手法を使う場合があると説明されています(Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」、2026年9月時点)。

集まったページから内容を取り出し、要約が書かれ、根拠になったページがリンクとして添えられます。次の図は、その順序と、途中で結果が入れ替わる余地を1枚にしたものです。

1つの質問からAI Overviewsの要約と参照元リンクができるまでの流れ

検索1位のページが必ずAI Overviewsの参照元になるわけではない

順位が1位でも参照元に選ばれないことがあり、同じ質問でも引用元は入れ替わります。生成AIの回答は毎回同じにならないため、1回の結果で良し悪しを決めないことが前提です。私たちは日をまたいで複数回の記録を取り、傾向として読むようにしています。

AI Overviewsに出るために新しく必要な作業は無い

Googleは、AI Overviewsやモードのための特別な最適化は必要なく、従来のSEOの基本がそのまま有効だと説明しています。AI機能に表示されるための追加の要件は無く、AI向けの専用ファイルを用意したり文章をAI向けに書き換えたりする必要もないとしています(先ほどの検索セントラルのガイド)。改善の進め方は本記事の範囲を超えるため、AI検索で引用されるための施策をまとめた記事に譲ります。

AI Overviews表示時のクリック率の変化:日本と世界の調査データ

表示されると、順位が同じでもクリックは減ります。情報収集型のキーワードを中心に継続計測した調査では、AI Overviewsが表示されたときの検索1位のクリック率の低下幅が、日本で2025年12月の38%から2026年6月に62.7%へ拡大しました(Ahrefs「AI 概要で検索 1 位の CTR が半年で -62.7 % に激減」、2026年7月)。米国も同じ期間に58%から68.8%へ進んでいます(Ahrefs、2026年7月)。同じAhrefsの調査(2026年7月)では、日本の1位のクリック率は、本来見込まれる24.1%に対して、AI Overviewsが表示されると9.0%にとどまっています。10人中2人強が開くはずのページが、1人に満たなくなる規模の変化です。

注意したいのは、表示されることと流入が増えることが別だという点です。Search Consoleの生成AI向けの画面で分かるのは、表示回数の推移、表示の多いページ、国やデバイスまでで、クリック数は含まれていません(先ほどのSearch Consoleのヘルプ)。

影響の大きさは記事の性格で変わります。調べもの型の解説記事に流入が集中している構成ほど打撃が大きく、事例や見積もり相談につながるページは影響が小さめです。SEOへの影響と活用法をさらに詳しく知りたい場合は、AI OverviewsのSEOへの影響と活用法を掘り下げた記事へ進んでください。

強調スニペット・AIモード・チャット型AI検索とAI Overviewsを見分ける5つの判断軸

混同が起きやすい5つの枠を並べます。強調スニペットとは、検索結果の上部に既存ページの文章がそのまま抜き出されて表示される枠のことです。表は左から右へ、出る場所、作られ方、リンク、クリック、できることの順に読んでください。

種類

出る場所と見え方

回答の作られ方

参照元リンクの示され方

クリックへの影響

サイト側にできること

AI Overviews

通常の検索結果の最上部に自動で出る要約

AIが複数ページの内容をもとに文章を生成

要約の枠内や横に数件

表示されると1位でもクリックが減る

従来のSEOの基本。生成AI機能から外す設定は選べる

AIモード

タブを切り替えて開く対話画面

質問を分けて調べ、追加質問にも答える

回答の中と末尾にリンク

会話が続くほどサイトを開く必要が薄れる

同じ設定で生成AI機能から外せる

強調スニペット

検索結果の上部に出る抜き出し枠

既存ページの文章をそのまま抜き出す

枠そのものが1件のページ

抜き出された内容で足りると開かれない

ページ側で抜粋を出さない指定にできる

通常の検索結果

青いリンクの一覧

文章は生成せず、ページを順位付けするだけ

各行がそのままリンク

順位とクリックが従来どおり連動

従来のSEO

ChatGPT・PerplexityなどのチャットAI

Google検索の外側のアプリやサイト

AIが会話形式で回答を生成

回答内に注記として付く場合がある

Google検索の数字には表れない

Search Consoleの設定は効かず、各サービスの扱いに依存

調べもの型の記事を持つサイトはAI Overviewsの行、比較検討で選ばれたいサービスはAIモードとチャットAIの行を先に見ると判断が早くなります。注意点は2つあります。SGEはAI Overviewsの前身の呼び名なので、別機能としてこの表には入れていません。もう1つは境目の変化で、2026年5月のGoogle I/Oでは検索ボックスの刷新とあわせて「AI による概要」と「AIモード」がつながる形が示され、同年5月19日から順次展開されています(窓の杜「すぐ知りたい「Google I/O 2026」発表まとめ」、2026年5月)。私たちは、どの枠に出たかで打てる手が変わる状態は当面続くと見ています。

「AI Overviewsは消せる・申請すれば載る」という誤解と、サイト側にできることの限界

「AI Overviewsを自分の画面から消せる」は半分だけ正しい

表示するかどうかを決めるのはGoogle側で、利用者の設定で常に消せるとは言えません。Googleのヘルプでも、AI による概要は検索の主要な機能のため無効にはできないと説明されています。公式に案内されている回避策は、検索したあとに[ウェブ]フィルタを選び、テキストのリンクだけの結果に切り替える方法です(Google 検索ヘルプ「Google 検索の AI による概要で、情報をすばやく簡単に見つける」、2026年10月確認)。社内で「うちの画面には出ないから大丈夫」と判断するのは危険です。

サイト側がAI Overviewsへの引用を止める2つの方法と、その副作用

止める手段は2つあり、効き方と副作用が違います。

方法

効き方

副作用

ページ側に「抜粋を出さない」と指定する

要約への引用を拒否できる

通常の検索結果に出る説明文も消える

Search Consoleで生成AI機能から外す設定にする

AI Overviewsやモードの回答の根拠に使われなくなる

その機能からの表示回数と流入を受け取らなくなる

従来は前者しかなく、通常の検索結果のスニペットまで消えてしまう副作用がありました(海外SEO情報ブログ「Google、AI Overviews・AI Modeへの表示を制御できる新機能をSearch Consoleに導入」、2026年6月)。後者は生成AI機能の中でリンクされることも根拠に使われることもなくなる設定で、その機能以外の検索順位のシグナルには使われないと説明されています(Search Console ヘルプ「検索の生成 AI 設定」、2026年9月時点)。私たちは、ほとんどの企業にとって外す理由は無いと考えています。

参照元に載せてもらう申請の仕組みは無い

掲載を申し込む窓口や、参照元の枠を買う方法はありません。追加の要件が無いという説明の裏返しで、申請という考え方自体が存在しないためです。広告はこれとは別の枠で、「AI による概要」の上部または下部に出る広告はこの機能が使える200以上の地域すべてで表示されます(Google 広告ヘルプ「広告と AI による概要について」、2026年9月時点)。一方、要約の内部に差し込まれる広告は、米国・カナダ・オーストラリア・インドなど12か国の英語の検索結果に限られ、日本は対象に含まれていません(同ヘルプ)。AIモードの中への配信も、対象や条件が動く実験段階だと報じられています(neworder「Google広告、完全一致・フレーズ一致でもAI Mode出稿が可能に」、2026年9月)。いずれも、要約の参照元に載る話ではありません。

表示回数だけでは、AI Overviewsでの扱われ方は測れない

表示回数は公式の画面で見えますが、要約の中で自社がどう語られたかは別に測る必要があります。私たちは実務では、自社名を出さない質問を複数のAIに複数回投げ、自社の名前が出た回答の割合(言及率)と、引用元に自社サイトが入った割合(引用率)を分けて記録しています。誤った料金や実在しないサービスが語られていないかも同時に見ます(AI検索の誤情報(ハルシネーション)の原因と対策をまとめた記事)。商用のAIエンジンは内部を公開していないため、こうした観察は外から見た範囲にとどまります。

自社がAI Overviewsでどう扱われているかを確かめる最初の3ステップ

今日から自分の手で始められるのは、次の3つです。

  • 主要キーワードで、表示の有無と参照元を目視で記録する
  • Search Consoleの生成AI向けの画面で、表示の多いページを把握する
  • 自社名を出さない質問で、AIの回答に自社が出るかを確認する
  1. 主要キーワード10〜20件を選び、AI Overviewsが出るか、自社が参照元に入っているかを目視で記録します。日をまたいで複数回、パソコンとスマートフォンの両方で見ます。記録には日付と使った端末を必ず添えてください。
  2. Search Consoleの生成AI向けの画面を開き、AIの機能で表示が多いページを把握します。ここは表示回数を見る道具として使います。なお2026年8月13日以降は記録上の不具合で表示回数が少なく出ていると案内されているため、その期間だけを根拠に判断しないでください(Search Console ヘルプ「Search Console のデータ異常」、2026年9月時点)。
  3. 自社名を出さない質問(「◯◯のおすすめは?」の形)で、自社が出るか、どう語られるかを確認します。誤った情報が混ざっていないかも同時に見ます。手作業では回数が増えると続かないため、AIの回答を質問単位で分析するツールの比較記事も判断材料にしてください。

私たちは、この3つまでは専用の道具が無くても始められると考えています。逆に、ここを飛ばして記事の書き換えから入ると、効果の判定ができません。

まとめ

要点は3つです。AI Overviewsは、Google検索の最上部にAIが要約と参照元リンクを出す機能で、日本語では「AI による概要」と表示されます。表示されると、順位が同じでもクリックは減る前提で見る必要があります。最初の一歩は、自社の主要キーワードで要約が出るか、その中に自社が入っているかを記録することです。

順位表だけを見ていた状態から、要約の中の扱われ方を見る状態へ切り替えるのが、この分野の入口になります。自社が今どう語られているかを確かめたい場合は、AI Hackのサイトから相談できます。