「ChatGPTに社名を入れたら、競合の名前だけが並びました」と相談を受けることがあります。AIO(LLMO)診断とは、AIが書いた回答の中で自社がどう扱われているかを、質問を決めて複数のAIに繰り返し聞いて確かめる作業です。この作業は、AIO診断ともLLMO診断とも呼ばれます。AI検索での最適化を指す言葉は、AIO(AI Optimization)のほかにLLMO(Large Language Model Optimization)、GEO(Generative Engine Optimization)、AEO(Answer Engine Optimization)などがあり、業界でまだ呼び方が統一されていません。本メディアではこれらを総称して「AIO」と表記します。見る項目は6つに整理でき、質問を4本つくれば担当者ひとりでも今日から始められます。
ChatGPTやGoogle AI検索は、いま自社を何と紹介しているのか
検索順位は毎日見ているのに、AIの回答文の中の自社の扱いは誰も見ていない。これが多くの会社の現状です。理由は大きく2つあります。
1つ目は、検索してもどのサイトも開かないまま終わる人が増えたことです。SparkToroがSimilarwebの閲覧履歴データを分析した調査では、米国の(Googleの検索アプリ内での検索を除く)ブラウザ経由のGoogle検索のうち、2026年1〜4月にクリックが起きないまま終わった検索が68.01%でした(Search Engine Land「Google zero-click searches reach 68% in early 2026: Study」、2026年6月)。この「検索しても誰のサイトにも行かずに終わる状態」をゼロクリックと呼び、背景はゼロクリック検索とは?増える理由とAI検索時代に求められる対策で扱っています。
2つ目は、比較検討の入り口がAIとの会話に移ったことです。「このカテゴリのおすすめは?」という質問の答えに名前が出るかどうかが、見込み客と出会えるかどうかを分けます。
私たち株式会社AI Hackは、AIの回答を継続的に取得して可視化するツールとAIOの支援を提供しています。その立場から、順位表の隣にAIの回答そのものを並べて初めて現状が見える、と考えています。
AIO(LLMO)診断とは、AIの回答の中での自社の扱いを把握する作業
AIO(LLMO)診断は、AIが書いた回答文を資料として集め、その中の自社の扱いを数えて並べる作業です。順位表を見るのではなく、AIが書いた文章を読んで中身を記録します。
AIO・LLMO・GEO・AEO、呼び方が違うだけで中身は同じ
「LLMO診断」「AIO診断」「GEO診断」「AI検索 診断」「LLMO 現状分析」は、どれも同じ行為を指します。検索するときの言葉が違うだけで、やることはAIの回答を集めて中身を確かめることです。本記事では以降「AIO(LLMO)診断」に表記を統一します。
AIO(LLMO)診断で把握する4つのこと
把握するのは、次の4つです。
- 回答に自社の名前やサービス名が出ているか
- 回答の根拠として自社サイトが挙がっているか
- 語られ方が好意的か、否定的か
- 書かれている内容が事実として正しいか
4つは同じ重さではありません。私たちは、名前が出ているかと、根拠に自社サイトが使われているかの2つを土台に置いて読むべきだと考えています。
従来のサイト診断とAIO(LLMO)診断は、見ている場所が違う
「診断」と聞くと、表示速度やサイト内のリンク、検索エンジンへの登録状況を点検する作業を思い浮かべる方が多いと思います。これは自社サイトの中を点検する作業です。一方、AIO(LLMO)診断が読むのは、AIが書いた回答文という自社の外にある文章です。同じ「診断」でも、検査台に乗せる対象そのものが違います。
AIO(LLMO)診断で見る6つの項目
前章の4つを、実際に数えられる単位まで分けると6項目になります。見る項目は6つに整理できます。表は「何を確かめるか」と「そこから何が分かるか」を1行ずつ対応させているので、左右をセットで読んでください。
見る項目 | 確かめること | 分かること |
|---|---|---|
名前が出ているか | 回答文に自社名・サービス名が含まれるか | そのカテゴリの候補として認識されているか |
何番目に、どう勧められているか | 列挙の順番と、勧め方の言い回し | 第一候補なのか、付け足し扱いなのか |
どのサイトを根拠にしているか | 回答に添えられた引用元のドメイン | AIが何を読んで自社を語っているか |
内容が合っているか | 料金・サービス内容・実績の記述 | 誤った説明が出回っていないか |
競合と比べた扱い | 同じ回答に並ぶ他社名と、その順番 | 自社が比較の土俵に乗っているか |
好意的か否定的か | 言及している文の調子 | 語られ方が偏っていないか |
主に見るのは上の3つです。最後の項目は判定が反転しやすいため、私たちは参考扱いにとどめています。社外に説明するときは、1つ目を言及率、3つ目を引用率と呼びます。2つ目は推奨順位(回答の中で何番目に挙がるか)、5つ目は言及シェア(同じカテゴリの言及全体に占める自社の割合)と呼ばれます。
引用元を項目に入れるのは、引用と言及が別々に起きるからです。申し込みを受けて作成した分析レポートを横断して集計した調査では、自社のドメインが引用された回答のうち26.0%で、その企業名・サービス名が回答文に出ていないと判定されました(Queue株式会社「AI検索最新調査」、2026年10月)。自社サイトが根拠に使われても、名前は紹介されないことがあるという意味です。
自社でできるAIO(LLMO)簡易診断の手順
手順は5つです。特別な道具は要らず、ブラウザと表計算ソフトがあれば進められます。
- 質問文をつくる
- 3種類以上のAIに、同じ質問を同じ条件で投げる
- 回答と引用元をテキストで記録する
- 同じ質問をくり返す
- 分母付きで集計して並べる
以下の図は、この5工程のつながりと、答えがばらついたときに作業を戻す位置を1枚にまとめたものです。

STEP1 AIO(LLMO)診断の軸になる質問文をつくる
主役は、自社名を出さない質問です。見込み客は自社名を知らないまま「中小企業向けの勤怠管理システムのおすすめは?」のように聞くからです。
材料は、検索キーワード、Search Consoleに出ている実際の検索語、問い合わせや営業でよく聞かれることから集めます。頭の中で「ありそうな質問」を発明しないでください。集めた言葉は、次の形に直します。
- 体言止めをやめ、口語の質問文にする
- 予算や企業規模などの条件を1つ足す
- 1つの質問で聞きたいことは1つにする
- 「これって良いですよね?」のような誘導する聞き方をしない
本数は、誰にでも当てはまる汎用の質問1本と、状況別の質問3本以上の計4本から始めます。自社名を出す質問と出さない質問は、記録の上で分けて印を付けます。なお、AIは1つの質問を裏で複数の検索に分解します。その仕組みはクエリファンアウトとは?AI検索が質問を分解する仕組みと対策にまとめています。私たちは、診断の精度の大半は質問文の質で決まると考えています。
STEP2 3種類以上のAIに、同じ質問を同じ条件で投げる
対象は、ChatGPT、Gemini、GoogleのAI検索、Claudeなどから3種類以上を選びます。1つのAIだけ見ると、そのサービスの癖を世の中の評価と取り違えます。
条件もそろえます。ログインしない状態(シークレットウィンドウ)で聞いてください。自分の利用履歴に引っ張られた答えを、世の中の答えだと誤解しないためです。
あわせて、結果を読むときの前提を2つ押さえておきます。
- 商用のAIは内部の仕組みを公開していないため、診断は外から見た間接的な観察です
- ログインせずに測った結果は中立の基準値であり、実際の利用者が見ている回答の代表値ではありません
STEP3 回答と引用元をテキストで記録する
画面の写真ではなく、文字で残します。後から数えられる形にしておくためです。記録するのは、日付、AIの種類、質問文、何回目か、自社名の有無、何番目に出たか、引用元のドメイン、誤りの有無、同じ回答に出た競合名です。
次は、そのまま表計算ソフトに貼って使える見出し行と記入例です。
date,engine,prompt,trial,mentioned,position,cited_domains,error,competitors
2026-10-20,chatgpt,中小企業向けの勤怠管理システムのおすすめは?,1,yes,3,example.com;example.jp,no,A社;B社
2行目のprompt以降は、自社で使う質問文、自社名の出方、実際に出てきた他社名に書き換えてください。
STEP4 同じ質問をくり返して、ぶれ幅ごと記録する
同じ質問は、最低2回、できれば3回、腰を据えて見るなら5回投げます。1回出なかったことは負けではなく、1回出たことも勝ちではありません。
このとき、同じ会話の中で続けて聞いたものは別の回として数えません。前の会話の内容を引きずった答えになるためです。毎回新しい会話を開いて聞き直してください。
AI検索の答えは実行のたび、質問のしかたごと、時期ごとに変わるため、1回きりの観測はあてにならず、ばらつきを含んだ分布として見るべきだとされています(Schulteほか「Don't Measure Once: Measuring Visibility in AI Search」arXiv、2026年4月)。
STEP5 分母付きで集計して、4本の質問の結果を1枚に並べる
集計は「3回中2回」のように、分母を付けて書きます。「出た」「出ない」の二択で書くと、ばらつきの情報が消えてしまいます。
質問4本ぶんを横に並べると、どの聞かれ方で名前が出ていないかが一目で分かります。私たちは、分母のない数字を社内資料に載せないことを最初の約束事にしています。
AIO(LLMO)診断の結果をどう読み、次に何から手をつけるか
診断の結果は、症状ごとに向かう方向がおおむね決まっています。表は左から右へ、見えた症状、考えられる原因、次の打ち手の順に読んでください。
症状 | 考えられる原因 | 次の打ち手 |
|---|---|---|
そもそも名前が出ない | カテゴリの中で自社を語っている情報が外部に少ない | 第三者の媒体での言及づくり、比較される文脈への露出 |
競合ばかり勧められる | 比較やランキングのページで自社が扱われていない | 競合が載っている記事の棚卸しと掲載交渉 |
名前は出るが引用元が他社サイト | 回答の根拠が他社メディアに依存している | 根拠として参照できる自社ページの整備 |
書かれている内容が間違っている | 古い情報や出所不明の情報が参照されている | 公式情報の更新と、ChatGPTの自社情報が間違っているときの対処と初動で挙げた初動 |
要するに、名前が出ない症状は外、引用元が他社ばかりの症状は自社サイト、内容の誤りは公式情報の更新から手を付けます。打ち手の進め方はAIO対策は現状確認から:自社でできる3つの手順と打ち手の選び方で扱っています。
4行目を特別扱いしないのは、出典が添えられていても、その出典が文の内容を支えているとは限らないからです。2023年に4つの生成検索サービスの回答を人手で評価した研究では、引用で完全に裏づけられていた文は51.5%、引用がその文の内容を実際に支えていた割合は74.5%でした(Liuほか「Evaluating Verifiability in Generative Search Engines」arXiv:2304.09848、2023年)。
一方で、診断結果は打ち手につながります。引用や統計を本文に加えるといった書き方の変更により、約1万件の質問を使ったベンチマーク上の可視性の指標で、見え方が最大40%高まったと報告されています(Aggarwalほか「GEO: Generative Engine Optimization」KDD 2024、2024年)。次の図は、症状と打ち手の対応を1枚にしたものです。

実務では、外部の媒体での露出、自社サイトの整備、語られ方への対応のどれから始めるかを、計測した結果を見てから決めています。
診断作業をツールや外部サービスに任せるときの確認ポイント
外部の道具やサービスを検討するときは、確認する観点を4つに絞ると比べやすくなります。機能の多さではなく、自分の手作業のどこが置き換わるかで見ます。
- 質問の投入、記録、集計のどこまでを自動でやるか
- どのAIを対象にしているか
- 過去の記録が残り、後から見返せるか
- 結果の読み方まで示してくれるか
手作業には限界もあります。3種類のAIに4本の質問を5回ずつ投げると60回のやり取りになり、毎月同じことを続けるのは難しくなります。私たちのツールは、同じ質問を複数のAIへまとめて投げ、名前の出方・引用元・勧められ方を分けて見られるようにしています。
ツールごとの比較軸はAIO分析ツールの比較と選び方にまとめています。私たちは、先に道具を増やすより、手で一周してから任せる範囲を決めるほうが選びやすいと考えています。
一度の診断を定期計測に切り替えるタイミング
一度の診断で分かるのは今の断面だけです。打ち手を始めたら、同じ条件で繰り返し測る形に切り替えます。切り替えるときに決めることは3つだけです。
- 質問文を固定し、以後は変えない
- AIの種類と試行回数をそろえる
- 比べる相手は他社ではなく、前回の自分の数字にする
見る頻度は、週単位で変化に気づき、月単位で判断する程度で十分だと考えています。指標の決め方と報告のしかたはAIO(LLMO)の効果測定|指標・手順と経営への報告の型で扱っています。私たちは、計測の形を先に固めてから改善に入る順番をとっています。
まとめ:AIO(LLMO)診断は、質問を4本つくるところから始められる
本記事の要点は3つです。
- 見る項目は、名前の有無・勧められ方・根拠を中心とした6つ
- 記録は3種類以上のAIで、同じ質問を複数回くり返して取る
- 集計は「3回中2回」のように分母付きで残す
最初にやることは、自社名を出さない質問を4本書き出すことだけです。自社の現状を実測で確かめたい方は、無料AIO診断(実測)をご利用ください。
